MotoGP第18戦のオーストラリアGPが、10月16日にフィリップ・アイランド・グランプリ・サーキットで開催され、フランチェスコ“ペッコ”バニャイアがライダーズ・ランキングのトップに浮上した。このレースを3位でフィニッシュしたバニャイアは、大きなポイント差を逆転して、最高峰クラスではこれまで成し遂げることができなかった快挙を達成した。バニャイアは、ザクセンリンクで開催された第10戦のドイツGP終了時点で、ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)に91ポイントの差をつけられていたが、その後8レースを終えた現在、クアルタラロに14ポイントの差をつけてチャンピオンシップの新たなリーダーとなっている。
3番グリッドからスタートしたペッコは15周目にトップに浮上すると、最終ラップまでリードを保っていたが、今回のレースで優勝したアレックス・リンス(スズキ)と2位でフィニッシュしたマルク・マルケス(ホンダ)にオーバーテイクを許し、3位でチェッカーフラッグを受けた。今回3位に入ったことで、バニャイアは今シーズン9回目の表彰台を獲得した。ホームレースとなったチームメイトのジャック・ミラーにとっては、不運なレースとなった。8番グリッドからスタートしたオーストラリア人ライダーのミラーは、3番手争いのグループまでポジションを挽回したが、9周目に5番手を走行中のアレックス・マルケス(ホンダ)に追突され、2人ともクラッシュした。ミラーは、このアクシデントでリタイアを余儀なくされたが、身体的なダメージがなかったことは幸いだった。それでもミラーは、ライダーズ・ランキングでチームメイトのバニャイアと54ポイント差で5位をキープしている。
ドゥカティ・デスモセディチGPを駆るVR46レーシング・チームのマルコ・ベッツェッキは、今回のレースで4位に入り、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを獲得した。
ドゥカティ・レノボ・チームは、2年連続でチーム・タイトルを獲得するまで、あと一歩に迫っている。残り2レースの時点で、ドゥカティ・レノボ・チームは、2位のチームに84ポイント差をつけて1位をキープしている。
フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム #63) 3位
「今日の3位には満足している。もっとも重要な点は、それによってチャンピオンシップで1位になったことだ。ベストを尽くしたが、優勝できなかったことだけが残念だ。最初の数周はタイヤを温存するように走ったが、レース終盤に向けて同じペースを維持することができなくなり、フロントが苦しくなった。しかし、クアルタラロがクラッシュしたことを知って、戦略を変えることにした。不要なリスクを避け、この有利な状況を活かせるように、賢明なレースをしようと思った。次戦のマレーシアは、高速サーキットなので、素晴らしいレースができるすべての条件が整っている」
ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム #43) リタイア
「残念ながら、今日は不運な日となった。マシンの状態は、昨日から大きく改善された。いくつかセットアップを変更して良いフィーリングで走ることができていたが、得意とするターン4でアレックス・マルケスに追突され、クラッシュしてしまった。しかし、これはレースでは起こりうることだ。レース後、アレックスは僕のところに来て謝罪し、状況を説明してくれたので、彼の謝罪を受け入れた。途中でレースが終わってしまい、今日集まってくれた大勢のファンの方々に申し訳ないと思っている。それでも、素晴らしい週末だったし、フィリップ・アイランドに戻ってくることができて嬉しかった。バスティアニーニとアレイシ・エスパルガロは、今日のレースで多くのポイントを獲得できなかったので、まだチャンピオンシップで3位になる可能性は残されている」
第19戦のマレーシアGPは、1週間後の10月21日~23日に、セパン・インターナショナル・サーキットで開催される。2022年シーズンのMotoGP世界選手権は、このレースを含めて残り2戦となった。“ペッコ”バニャイアは、次のレースで最初の「マッチ・ポイント」獲得を目指す。